「北の宿から」を拉致被害者が歌った

2002年10月、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)による拉致被害者五人の24年ぶりの帰国が実現した。都はるみは、このビッグニュースの中に、自らを歌手として再認識する出来事があった。

「地村保志さんの妻・富貴恵さんが帰国後、『北の宿から』を歌ったという話を聞いた時、歌も捨てたものじゃない。歌手をやっていてよかったと実感しました」と、しみじみ話した。

1976年のレコード大賞

地村さんらが福井県で拉致されたのは1978年7月。「北の宿から」が日本レコード大賞を受賞したのは1976年。「あなた変わりはないですか」と呼びかける歌は、離ればなれになった肉親への思いと重なりながら、富貴恵さんの心に生き続けていた。

「北の宿から」について、都はるみは「実はこの歌は、歌いすぎて大嫌いになった時期もあったんですが、今はいとしい」と語った。

16歳でデビュー

16歳でデビューしてスターダムに駆け上がった。1年で10曲くらい出したこともあった。それから20年を経て「このまま一生歌っているのかなあ」という漠然とした不安も付きまとった。「女性としての幸せを求めて」引退した。そして復帰。復帰してから5年半の間で、「歌うのが一番好きと分かった」という。

40周年記念の全国ツアーやオリジナル大全集

2003年は、元日に121枚目のシングル「ムカシ」(コロムビア)をリリースした。2月からは全国ツアー、4月にはオリジナル大全集(CD15枚組予定)発売など、記念企画がめじろ押しだった。

「(デビュー40年は)えー、本当?っていう感じ。前しか見ない性格なので、過去は関係ない。1から立て直すつもりで、まず今年1年を全力で駆け抜けたい。フル回転です」と語った。

都はるみの略歴・プロフィール

1948年2月、京都市生まれ。1963年、コロムビア全国歌謡コンクールで優勝。1964年3月、16歳の時、「困るのことヨ」で歌手デビュー。「アンコ椿は恋の花」「涙の連絡船」などのヒットを飛ばした。1984年暮れのNHK紅白歌合戦で引退。プロデューサー業を経て90年に歌手復帰。

動画

▼北の宿から